環境・エネルギーシステム分析研究室
横浜国立大学大学院 本藤祐樹研究室

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1. 本プログラムの概要

 本プログラムは、「グローバルな環境問題の解決を目指した環境教育ではライフサイクル思考が有効である」という理論に基づき、開発されました。

LCA環境教育プログラム概要図

ライフサイクルアセスメントとは

 ライフサイクルアセスメント(LCA: Life Cycle Assessment)という言葉をご存知でしょうか? LCAとは、製品やサービスの環境への影響を定量的に算出する方法です。この方法の特徴は、製品やサービスの製造から使用、廃棄までの一連の過程(これをライフサイクルと呼びます)を考慮して隠れた環境影響までを知り得ることにあります。例えば、学校生活において鉛筆やノートは使っているときにはCO2を排出しません。しかし、その製造や廃棄の段階でCO2を排出しています。そのような隠れた排出をLCAによって知ることが出来るのです。

 このLCAという方法の基礎となる考え方を「ライフサイクル思考」と呼びます。地球温暖化のようなグローバルな環境問題の解決には、ライフサイクル思考が必要不可欠です。わたしたちの生活は、見えないところで多大な環境負荷を発生させています。しかし、それを日常生活において認識することは難しいです。それ故に、グローバルな環境問題を解決するためには、まずは、私たちの日常生活が自然環境に負荷を与えているということを、実感をもって具体的に認識する必要があります。

本プログラムのねらい

 本プログラムのねらいは、学習者に、(1) 身近な製品のライフサイクルを通して、自らの日常の消費行動が、自分の見えない部分で地球温暖化に密接につながっていることを実感させ、その上で、(2) 日常生活を見直し、CO2排出量削減のために自らが出来る具体的な解決行動を考察させることにあります。

 このようなねらいを達成するために、本プログラムでは、新たに開発した教育用LCAソフトウェア「かばんの中でも温暖化?!」を利用しています。このソフトウェアを使うことで、学習者自らがパソコンで自分の持ち物からのCO2排出量を計算したり、排出削減シミュレーションを行ったりすることが可能となります。自分の持ち物を対象にして、自分自身で計算することによって、自らの日常の消費行動が地球温暖化の原因となっていることを、実感をもって認識できると考えられます。

 ここでは、本プログラムの概要を述べるに留めますが、詳細についてお知りになりたい方は、以下の解説記事をお読みください。

pdficon 高度技術社会に求められるライフサイクル思考に基づく環境教育